(税込980円の日替わり御膳。店員さんに言いました。「幸せ御膳」と命名したい、と)


40年来通う理髪店。髪を切ってもらう以上の人間関係が自ずと築かれています。


創業者が亡くなりました。現在、その夫人、子息やスタッフが変わらぬサービスを提供しています。


40代の頃、言われました。


「◯◯◯さんもこの辺、ちょっと薄くなってきたね」


高校生のときから頭髪を診てもらっています。毛髪に力がなくなってきているのは自明の理です。


ところが最近は違うのです。


「髪がありますね」


あと数年で還暦を迎えるという年齢の割には、髪がある、ということなのでしょう。言わば「頭髪特殊相対性理論」です。


今回、何十年と言えなかった、ある意味どうでもいいこと、しかし私にとっては重要なことを創業者夫人に尋ねました。


「スタッフの◯◯さんに切ってもらうと数本襟に髪の毛が残っていることがあってチクチクするんです。でも、これまで奥さんに切ってもらって一度もチクチクがないんです」


「そうでしょう。◯◯さん(先代のオーナー)はチクチクにうるさかったんです。だからチクチクしないよう工夫しています」


「偶然ではなく努力の結果だったのですね。納得です」


些細な、一見どうでもいいようなところに弛まぬ努力の成果があることに感銘を受けました。


毛髪進入防止のために首に巻く紙。先代のオーナーや夫人の巻き方は苦しくもなく、かつ緩すぎず絶妙な圧力だったことを思い出しました。

(柏市にて)

 

相田みつを美術館。数度訪れています。丸の内の東京都庁の跡地、東京国際フォーラム内にあります。

 

あの独特の文字に至る前にじつに丁寧な楷書での下積みがあったことを同美術館で知りました。

 

一流は一流にたどり着く以前に基礎を積み上げています。

 

東山魁夷もスケッチを幾枚も重ねたうえで本作を仕上げます。本作の縮小版のスケッチはもはや本作と同等のレベルです。

 

やないづ町立斎藤清美術館で観覧した斎藤氏の下絵に私は驚きました。

 

紙の版画作品はフォルムを単純化したりするなどデフォルメした作品が有名です。しかし、スケッチは異なります。微細な点に至るまで写実的です。

 

相田みつを氏の作品に戻ります。文字の持つ力に着目される紙の作品。私は文字よりも言葉そのもの表現力に不思議と惹きつけられます。

 

特に「にんげんだもの」は印象的です。

 

ついかっとなってしまった

にんげんだもの

 

どんな言葉を入れて「にんげんだもの」で結べば完結します。この包容力は無限大です。どんなことをしても許されるおおらかさが好きです。

 

キックバックしてしまった

にんげんだもの

(秋に茗荷っ子が出るとは思わなかった)


(「秋茗荷」のつづきです)


ありました。出ていました。咲いていました。秋茗荷です。驚きです。


夏の初めに出て、盛夏ではいったん休み、初秋にまた採れる。初めて知りました。これが秋茗荷なのですね。


「人間ならば誰にでも、現実のすべてが見えるわけではない。多くの人は、見たいと欲する現実しか見ていない」


塩野七生著『ローマ人の物語』の中でカエサルに言わせた言葉です。


(ぷっくりした茗荷が好みです)


見えていなかったのは私の方です。茗荷さん、ごめんなさい。


支柱をよく見ると枯れたように見えたインゲンがふたたび実っています。


ナスは夏のときのような黒光りの照りが弱くなっています。でも、元気に生っています。旨味が増しているように感じます。


気温が下がると息を吹き返す植物があることを知りました。いい勉強になりました。


人生の秋休みがほしいきょうこの頃です。

(桑の葉を飾ってみました)


非常識な人間だということは自分では薄々、そして他人からは明瞭に認識されています。


面接をしていて気がついたことがあります。皆初々しいリクルートスーツを着て臨んでいます。それは昔から変わりません。


部屋に入るときのドアを叩く回数が軒並み3回だということです。アメリカ映画の影響か、と思い人事担当者に尋ねたところ、以下の回答が。


「2回はトイレの在室確認です。ビジネスプロトコルで決まっていて部屋に入る際のノックの回数は3回又は4回となっています」


そうだったのか。私はあらゆる場面でこれまでずっと「あなたは◯◯の最中ですか」と問うていたことになります。


恥ずかし。恥辱まみれの人生にさらに恥の上塗りで、もう生地が見えない状態です。


きょうからノックの回数に関しては常識人になります。これまでご不快な思いをさせてしまい関係者の皆様に陳謝いたします。


決してトイレとして使わせてほしいという意図ではありませんでした。ご迷惑をおかけしました。

(平中央公園)


隣席の方と懇談する中で飛び出した言葉に固定観念というものがいかに根強いものか思い知りました。


「茨城県にはじつはテレビ局がないんです」


「見ることができる放送は東京キー局しかないと」


「そういうことです」


「初めて知りました」


「福島県はテレビ局が4局あり、県紙が2紙あります。ラジオ局も県全域をカバーする独立した民間の放送局があります。福島県は言論の多様性が担保されているとも言えます」


「なるほど。考えたこともありませんでした。確かに県紙は県内に2紙あるのは福島県と沖縄県くらいしかないと聞いたことがあります」


富山県も2紙あるものの、発行部数に相当な開きがある(筆者註)。


「さらにいわきにはコミュニティFMがある。重要なことです」


「12年前の震災のときはお仕事はどんな状況だったのですか」


(職場に通ずる平中央公園脇の道路)


「営業収入が入らず困りました」


「あのときはコマーシャルは『ぽぽぽぽーん』ばかりでしたものね」


対話を重ねる中で子どもの頃のテレビ環境を私は思い出していました。


茨城県に接するいわき市南部の海沿いに私は生まれ育ちました。東京キー局の電波が支障なく入ります。東京の放送を私たちは当たり前に見ていました。


VHFはチャンネルが整数の1から12までのガチャガチャとしたダイヤル式。


ところが、盆暮れ正月などで内陸部の父の実家に行くと、様相が変わります。ひと昔前のラジオのようにUHFの二桁の数字にチューニングするタイプでした。


コマーシャルが静止画であることに衝撃を受けました。正月のコマーシャルは猪苗代と磐梯山を背景にナレーションは決まって「新年のお祝辞を謹んで申し上げます」。


当時、東京キー局の放送を見れる地理的環境に優越感を子どもながらに覚えたものでした。


今回、地方局があるということは言論の多様性の証しであるとの考えに接しました。


ちょっと田舎くさい地方局のニュース番組が急にキラキラと輝いて見えてきました。

(苦瓜の葉に佇むカエル)


業務上の外部関係機関との懇親会。給仕するスタッフの洗練されたお酒の注ぎ方に見惚れました。


「バーテンダーの修業をされていたのですか」


「少しですが」


Oさんとの名札を確認してお名前を呼びかけながら話しかけます。


「洗練された身のこなしですよね」


「いえいえ、ありがとうございます」


「ところで、ワインを注ぐ際に底を持ちますよね。あれはどういった理由で...」


「底を持つのはラベルを見えるようにするためなのです。お客様に何のワインを注いでいるかわかるように、です」


「なるほど」


「ですから、お客様にこのようにラベルを見えるように注ぐのです」


Oさんは実演して見せてくれました。

(福島市飯坂町で見かけた紫陽花。紫陽花に特段の意味はありません)


習氏の『威光』、席配置で演出 米国に軍事はゼロ回答」(日経新聞2023.6.15)と題した中国総局北京発の田島如生記者の記事。


「米中関係を安定させる重要性を確認した一方、軍事対話の再開を拒んだ。外交儀礼上、異例といえる席配置でブリンケン氏に応対し、自らの『威光』を演出した」


今回の米中会談の模様をこのように書き出しています。記事は習氏の席の配置に注目します。


ポンペオ氏との2018年6月の会談ではテーブルを挟んでソファに腰掛けた。先日の今月16日のビル・ゲイツ氏との会談でも椅子を並べて対話したとして、今回のブリンケン氏への対応は異例としています。


人民大会堂の一室。いわゆるお誕生日席に習氏が座り両側にブリンケン氏を含む米国側と中国側の出席者を座らせています。


この席次には個人的に思い出があります。ずいぶん前のことです。


(公衆浴場「波来の湯」からの眺望)


「よし、しっかりと戦おう」と上司が気合いを入れ、私も上司の加勢が得られるものと期待しました。交渉相手が来たとき、その上司は当然に私たちの側に着席するものと思っていました。


ところがです。今回の米中会談の習氏と同じようにお誕生日席に着座してしまったのです。まるで審判のように、あるいは裁判官のように。


「いっしょに戦うって言ってましたよね、さっき」と私は言いかけそうになりました。気勢を削がれた私たちは妥協を強いられました。戦うときは人に頼らないことが大切です。


閑話休題。


日経新聞の記事の後段は中国も米中対話を重視するものの、そこには温度差があるとしています。記事の中で私が注目したのは米中の行く末の分析ではなく、次の一節でした。


「習氏とブリンケン氏が面会した部屋にはハスの花が飾られた。中国語でハスを意味する『荷』の発音は平和の『和』や協力を指す合作の『合』と同じだ。習氏は語った。『中米がきちんと付き合えるかどうかは人類の運命に関わる』」。


松下幸之助氏は京都の真々庵に賓客を迎えるに当たって石畳に何分前に水を遣るか心を配ったという。周恩来総理は重要な客が泊まる部屋のカーテンの遮光の度合いにも気を使ったと伝えられています。


物事にどこまでメッセージを感じ取るか。鋭敏な感覚を持ちたい。


会談の両テーブルを挟むように置かれた大きなハス。田島記者の秀逸な着眼と読み解きに学びを得ました。

(タリーズで買って駅構内のベンチで一服)


目が覚めて直ちに起動できる人を羨ましく思います。スリープ状態から活性化するまでの数分を私はあぐらをかいて待ちます。


ふと、すね毛を見ました。観察して気が付いたことがあります。白髪がないのです。一本もない。


頭髪はもちろん、鼻毛や部位が言えないところまで白髪の浸食は進んでいます。


にもかかわらず、すね及びふくらはぎの側面に生える体毛には白髪がまったくないことを本日午前5時過ぎに私は発見しました。


この理由・原因を解明できれば、スタートアップ企業を創設できるのではないか。白髪染めに悩む何百万、いや何千万人の人を救済できるかもしれない。


でも、私にはなす術もなければ資金もありません。残念です。


(テイクアウトなので軽減税率が適用されます)


もう一つの悩み。


職場のトイレの個包装のトイレットペーパーの「端探し」の問題解決法が未だに見出せていない。


かりかりと爪で引っ掻くものの、ささくれができるだけで一向に端(口語では端っこ)が杳(よう)としてつかめない。


無事に端っこを掌握できたとしても、ホルダーに装填後、回転方向が反対であることが3回に1回の割合で発生。もう一度取り外して逆転させなければなりません。


なかなかに共有しにくい話題です。ご高見をお待ちしております。


蛇足ながら、交換作業を忌避するため芯が見えるくらいの残量で逃げ切る人がいることに長年憤りを感じています。

(Guesthouse & Kitchen Haceで昼食)


ゲストハウスで修業中の長男から、「知ってる?」と問われました。近くに急傾斜の階段があり、その上に公園があるという。


徒歩散策が好きで常磐地区もそれなりに歩いていたつもりです。地元でも限られた人しか行かない「上の湯公衆浴場」(大人150円)や誰も足を運ばない「傾城山配水池」(いわき市水道局)も探訪。


その私でもまだまだ未開の土地があったのです。


(ローソンの裏手にその階段はありました)


湯本自動車学校よしの館とローソンいわき常磐湯本町店の間に恐ろしい階段があるとのこと。


何だこれは。最初から傾斜が急です。途中から屈折して仰角がさらにきつくなり、段の幅ももはや階段とは言えないレベルになります。


一気に141段を登りました。観音山公園という開けた場所に出ました。観音像が湯本のまちを見下ろしています。もっと緩やかな迂回路もあるらしい。


(それにしても急な階段だ)


我が人生に迂回路なし。往復ともに141段を昇降しました。


ふくらはぎから腿にかけて不快な痛みに苛まされています。謎があるとつい探検してしまう川口浩探検隊DNAが健在です。

(いわき市好間町の「海山(かいざん)」の担々麺)


いま思えば画期的な意思疎通の手法でした。「カセットテープ・レター」とも言うべきメッセージの交換です。


父は痔瘻(じろう)というちょっと特殊な病気を患いました。名医のいる静岡で手術をすることになりました。


遠方に長期間、父が不在になるのは火力発電所勤務のサラリーマン一家にとっては一大事でした。私が小学校に上がるころのことだったと記憶しています。50年前です。


片面60分のカセットテープに母は私たちきょうだいのメッセージを吹き込ませました。


保育園で習ったばかりの『たなばたさま』を弟が歌い、笛も吹きました。私はわけのわからない歌を見事に音程を外して歌い上げます。図鑑を買ってほしいと願い事まで訴えています。姉は「お父さん、浮気をしないでください」と殊勝なことを言っています。


きょうだい一同は父が深刻な摘出手術をするなどということは毛筋ほども考慮していないことがわかります。


そのテープを母は送ったのか、持って行ったのか、そこは定かではありません。両親ともとっくに鬼籍に入っていますので。


私たちのメッセージのあとに父が答える形で吹き込まれています。私の願い事の図鑑も買ってくれると言っています。


このテープが最近弟宅で発見されました。しっかり者の弟が保管してくれていたようです。テープを預かりカメラのキタムラにCDへのダビングコピーを依頼しました。3週間かかるとのこと。


タイムカプセルを開けるような心持ちです。


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