(静謐の森に包まれる「岩塙山荘珈琲店」)

長く憧れていた岩塙山荘(いわばなさんそう)珈琲店。北茨城の山里にあります。初めて訪れました。

「以前からお邪魔したいと願っていました。こちらに来る機会ができたので伺いました」

「それはそれはありがとうございます」

ブラジル産の豆を自家焙煎したコーヒーを注文。手作りのブルーベリータルトも合わせてお願いしました。


(甘さ控えめのしっとりとしたブルーベリータルト。癖になりそう)

窓外の樹林を眺めながら、ブログのネタに思いをめぐらせる私。憧れていた由を伝えて「あ、そうなんですね」と言われまいか、心配でした。杞憂に終わり安堵。

ブルーベリータルトが美味し過ぎて徐々に思考が停止。脳内にアルファー波が満ちてくるのを感じました。

「土日が休業日と伺い、なかなか来れずにいました」

「祝日は営業していますのでいらしてくださいね」

これはいい情報を得たと思いました。足で稼ぐ情報は有益です。


(いつまでくつろいでいたくなる雰囲気です)

また来店することを約し、岩塙山荘珈琲店を辞去しました。

夕刻になって自分の手帳がないことに気づきました。機密情報も含む手帳です。どうやら店に忘れてきたようです。

「もしもし、今日の12時半ごろにお邪魔した者ですが...」

「あっ、お忘れ物ですね。お預かりしていますよ」

「そうなんです。お店は何時までやっていますか」

「自宅がすぐ近くですから気にせずいらしてください。お待ちしています」


(新緑の季節にまた行こう)

到着するとお店はもう終わっていました。ドアを開け薄暗い店内に声をかけました。

「こちらですね。お預かりしていました」

「またすぐに来てしまいました。また伺います。ありがとうございました」

アルベール・カミュ『異邦人』の主人公ムルソー風に言えば、手帳を忘れた理由は、「タルトがあまりにも美味しかったから」ということになるでしょうか。

というわけで、岩塙山荘珈琲店への超高速リターンでした。


(毎年見ても飽きない桜かな)

施設の竣工式に出席しました。初めて訪れる県外の施設です。式典のあと内覧会となりました。

「こちらは理美容の部屋となります。理美容師に出張してもらいます」

「なんだ、リビョウって」

地元の市長が施設職員に尋ねます。

「頭を切っていただく部屋です」

「あ〜、床屋か。床屋って言えよ」

「女性の入所者もおりますので、女性は美容をご利用になります」

なかなか矜持(きょうじ)のある職員です。証人喚問にも耐えられそうな気位が漂っています。私には無理だ、と思いました。

“リビョウ”に触発されたのか、廊下の隅でこの市長と地元選出の県会議員とが頭髪のことを話題にし始めました。

「俺よ、きょう頭を切ってきたんだけど、この辺ハゲちゃってさ」

左側頭部を撫でながら県会議員に訴えます。確かに薄い。すだれ状になっています。県会議員はノーコメント。賢明な判断です。

黙して語らず。組織で権力者に重用されるにはしゃべり過ぎないことです。特に官房系の部署においては。おしゃべりは、時に干され、そして刺されます。

脱線しました。市長が続けて言います。

「このハゲは選挙でできちゃったんだよ」

私なら愛想笑いをするところ。が、件(くだん)の県会議員はうなずくだけです。処世術の一端を垣間見る思いがしました。

春光輝く竣工式。桜の花のほころびを数葉撮って会場を後にしました。

選挙とはハゲができるほど苛烈なものなのか。そこまでしてやる動機はいったい何なのか。

今後、調査研究してまいります。


(家の近くの春の小川)

これまで福島市の花見山を見に行ったことがありません。15年前に仕事で2年間同市に滞在していたにもかかわらずです。

皆が勧めます。行ってきた人はその美しさを愛でます。私も憧れてはいるのです。行ってみたいな、と。

が、どうにもこうにも、あの人混みを思うと足が向きません。人混みが根っからの苦手。人が群れをなしているのを見るだけ気疲れし、ましてその中にいると疲労困憊してしまいます。

群れをなしている動物を見ると尊敬の念を禁じ得ません。

さて、絵葉書などの花見山の写真には人は写っていません。でも、数千人もの人がカメラを構えているのだと思うと、ぞっとします。

人気(ひとけ)のない地に咲く桃の花を眺める方がよほどいいと思ってしまいます。

ところが、来月中旬に花見山に行くことになりました。タイの友人とです。バンコクから南に約1000kmに位置するタイ南部のソンクラー県から来日します。

タイ南部の最古の国立大学であるPrince of Songkhla 大学(通称ソンクラー大学)の歯学部の准教授を務める友人です。

30年前、タイ・バンコクに留学していたときに同大学の歯学部の女子学生に会いに行った際、泊まらせてもらった歯学部の男子寮。

網戸のない部屋で、たくさんの蚊に襲撃されました。翌朝、私は学生に質問しました。


(布引高原の春。蚊も人もいないところが好きです)

「蚊の痒さと部屋の暑さを比較するとどちらを選びますか」

「蚊です。蚊は気になりません。暑い方が嫌です」

今回来る友人はその男子寮でお世話になった学生です。

2年前、仙台で28年ぶりに再会を果たしました。東北大学歯学部との交流プログラムでの訪日でした。

今回の来日では、行きたい場所が花見山だというのです。宿泊先は土湯温泉の向瀧旅館。

なかなか渋いチョイスだなと思いました。インバウンド(訪日外国人旅行)はここまで進化してきているのだと驚きました。

NIKKEIプラス1「何でもランキング」(2018年3月3日付け日本経済新聞)で「桃の花咲き誇る春の名所」に花見山が第3位にランクイン。これではますます人が大挙来襲してしまうではないか。

憂鬱ですが、友のため。覚悟を決めて人混みに入ってみようと思います。目下、翌日の旅程を思案中。

残雪の裏磐梯→(表磐梯に移り)→猪苗代湖畔の私好みのカフェ「Taro Cafe」→(磐越道)→塩屋埼灯台→アクアマリンふくしま....。


(春になる寸前の雪)

プラスチック射出成形に関するセミナーの終了後、立食での交流会に参加しました。20人弱がポリ乳酸の射出成形技術の第一人者である講師を囲みながら歓談。

名刺を交換しながら参加者にあいさつを交わします。名刺を渡す際、かすかな気恥ずかしさを伴います。

好きで産業系のセミナーによく参加する私。特にマニアックなテーマほど惹かれます。でも、テーマとは全く無関係の部署にいます。

「障がい福祉課の○○○と申します。仕事とは関係ないのですが、このセミナー(オフタイムサロン)によく参加しています。ほぼ皆勤賞です」

怪訝な顔をされるかなと思いつつ、あいさつをしました。鉄工所の社長さんが声を少し低めに語り始めました。

「じつは、生まれつき重い障がいがある娘が震災後少し経ってから亡くなりました。16歳でした。車いすが乗せられる改造車が目の前で津波で流され、その後が本当に大変でした」

娘さんとともに歩んできた社長さんのお話に耳を傾けました。大変さを吐露しつつ、暗さを感じさせない、むしろ爽やかささえ漂う社長さんの顔(かんばせ)を拝しながら、私は思いました。

社長さんは戦ってきたのだ、と。

次に精密加工会社の生産技術部の課長さんと名刺を交換しました。同じように「これまで福祉と教育畑を歩んできまして、仕事とは関係ないのですが」と言い訳に似たあいさつをしました。

「じつは21歳になる息子が重度の障害を持っていまして...」

私は驚きつつ、お話を伺いました。

「もう自分たちでは面倒を見るのが難しくなり、国立の施設に相談に行きました。ほぼ入所が決まったのですけど、『夜、あまり眠れない子なんです』と一言言ったら、受け入れを断られました」

「そうだったのですか。お子さんのお名前を教えていただけますか」

課長さんはご自身の名刺に息子さんのお名前を書いて渡してくれました。そのお名前を心の中で繰り返し読み、目に焼き付けました。

お二人の話を反芻しながら、ふとキサー・ゴータミーの逸話がよぎりました。

初期仏典に出てくる譬喩の一つです。

我が子を亡くしたキサー・ゴータミーという女性が死んだわが子を抱きながら生き返らせてくれと釈迦に懇願します。

それに対して、釈迦は「死者を出したことのない家からケシの種(一説ではカラシの種)をもらってきたら、その子が生き返る薬を作ってあげよう」と告げます。

わが子を生き返らせるため、必死になってキサー・ゴータミーは家々を回ります。しかし、どの家に行っても家族の死がありました。キサー・ゴータミーはわが子の死を受け入れ、釈迦の弟子になったという話です。

なぜ、キサー・ゴーターミーの逸話を思い出したのか不思議でした。とともに、言い訳がましいあいさつをするのをやめようと思いました。


(雪と竹は似合う)

ポリ乳酸(PLA)の射出成形技術の第一人者が地元にいることを知りました。

第7回ものづくり日本大賞「内閣総理大臣賞」受賞記念講演『福島から世界へ、樹脂成形の世界を変える!!ポリ乳酸(PLA)の射出成形技術への挑戦』を聴講。

小松技術士事務所の小松道男所長の講演に感銘を受けました。小松さんは、技術士に史上最年少で合格。小松技術士事務所を設立し、プラスチック射出成形金型技術の第一人者となる。

石油由来樹脂による環境負荷という課題を解決するため、植物由来・生分解性プラスチック「ポリ乳酸」の独創的な射出成形技術群を世界に先駆け実用化。

乳酸菌とトウモロコシ等を粉末にしたデンプンがポリ乳酸の原料。自然の力で水と二酸化炭素に分解される。海洋ゴミ(Marine Litter)対策技術としても有望であるという。

耐熱性や可塑性、そしてコストの問題を解決。日米欧等で特許権31件(235発明)を取得。

食器安全性、重金属フリーを兼備した幼児食器シリーズ「iiwan」を事業化。ポリ乳酸を原料とした耐熱食器分野及び薄肉射出成形カップ分野で世界シェア100%。

世界、特にフランスが注目している背景に石油系プラスチックの燃焼処理による地球温暖化に加え、海洋ゴミであるマイクロプラスチックによる有害物質の生物濃縮が挙げられる。

文字通り、地中海は外洋との海流が少なく、プラスチックスープとまで言われるほど汚染が進んでいるという。

そのような中、フランスは2020年から「使い捨て食器へ生分解性素材50%以上使用義務法」を昨年9月に制定。2025年には比率を60%以上に引き上げる見通しとのこと。昨年7月からはポリエチレン買物袋の使用が禁止されている。

小松さんは訴えます。

闘う前にかつ戦略が大事である、と。まさに孫子の兵法であると感じました。

「百戦百勝は、善の善なる者に非るなり。戦わずして人の兵を屈するは、善の善なる者なり」

基本特許のまわりを周辺特許で囲い込む。日本・欧州・北米を中心に特許網を構築。どのような大手化学メーカーも太刀打ちできない。

知的財産の重要性を改めて痛感しました。

万里の道も一歩から。3月11日に国家試験「知的財産管理技能検定3級」を受検します。引っかけ問題に引っかかってばかりです。裏の裏で解答すると、裏を読みすぎてまた誤答。

どうすればいいのか。春なのにため息ばかりです。


(因島大橋を渡り今治へ)

FC今治の運営会社「株式会社今治.夢スポーツ」。その代表取締役を務める岡田武史さんの講演会に参加。サッカーへのたぎるような熱き想いに心が揺さぶられました。

披露宴を抜け出して会場のみなと交流センター「はーばりー」に駆けつけたという岡田さん。講演会の後は高知に行かなければならないとのこと。

多忙ゆえ今回の講演への準備はままならなかったと言いつつ、サッカーと今治のまちづくりへの尽きることのない言葉の咆哮が続きます。

「死にものぐるいで考え、死にものぐるいで動く。それしかない」「このまま走っておれが倒れるか、あるいは会社が倒れるかだ」

「命をかけてとまでは言わないが」と謙遜して言うものの、リスクをかけて文字通り日々走っている様子が伝わってきます。

人口16万人の今治でJリーグ昇格を目指す。それがいかに大変なことか。J1に行くにはスタジアムを持たなければならない。岡田さんの熱き想いに賛同してスタジアムは作られた。

イニシャルコストは賄えてもランニングコストをどうするのか。

心震える感動、心踊るワクワク感、心温まる絆を感じられるスタジアム。そういったコンセプトでスタジアムを作り上げていく。

サッカーに興味がない人にも来てもらう。商業施設と一体となった複合型のスポーツパークを実現する。


(講演会会場のみなと交流館「はーばりー」)

岡田さんはスタジアム収容率日本一を掲げる。溶岩のように熱く粘着力のある情熱。片言隻句(へんげんせっく)に想いのの強さと固さを感じました。

今治から日本のサッカーを変える。岡田さんは還暦を超えたそうです。青年のような熱量にこちらまでやけどしそうになりました。

質疑応答で私は尋ねました。

「地元のいわきFCを強くするために地域は何ができるか。地域は何をすべきか」

岡田さんは簡潔に二つのポイントからアドバイスをしてくれました。胸に深く刺さる言葉でした。私自身これから何ができるか模索したいと思います。

現在、岡田さんは「株式会社今治.夢スポーツ」の代表取締役のほか、日本エンタープライズの社外取締役、城西国際大学特任教授、日本サッカー協会副会長の要職にあります。

今治と言えばタオルしか思いつかなかった私。

今治造船が日本一の造船数と技術を持っていること、「伯方の塩」の伯方とは今治市内の地名であることを今治市職員から教えてもらいました。浅学非才に磨きがかかってきたようです。

旅の恥を洗い流すため「坊ちゃん」が泳いで叱られた道後温泉に向かいます。


(春よ早く来い)

5分弱の広報番組の収録に立ち会いました。スポンサーは広報担当の課です。手話通訳のスタッフが関わるため、一度、同席したいと願っていたものでした。

大雪の影響もあって福島市内は道路にも雪が残っていました。午前10時半に制作会社に到着。風が身を切るように冷たい。

初めにナレーションのアフレコを行うとのこと。

映像とナレーションのタイミングを計るため、一同同席のもとフリーアナウンサーの方がナレーションのリハーサルを始めました。

声が美しい。じつに聴きやすい。天性の美声にさらに磨きをかけた声。そんな感じがしました。

音叉(おんさ)のような混じりけのない透明な声です。私の脇でマイクを介さず話しているのに、どこか天井のスピーカーから聞こえてくるような錯覚を覚えました。

いただいた名刺の略歴を見ると喜多方の出身。大学は仙台。生粋の東北人です。軽いショックを受けました。

なぜなら、私は思いっきり訛っているからです。加えて、15年前に県の外郭団体に出向していた際、喜多方出身の同僚のイメージが強く残っていたこともショックの原因でした。

彼は「それで」の意味でよく「そんじぇ」と言っていました。「じぇ」というよりは、むしろ「じぃ」に近かったかもしれません。仲間内でも、クライアントとの打合せでも、出張先の東京でも彼は「そんじぇ」を連発。

いつしか、私の頭の中で「喜多方イコールそんじぇ」の刻印がなされていきました。

プトレマイオス朝最後のファラオ「クレオパトラ7世」は何よりも声が美しかったという。聞く人をして魅了する声と話術の持ち主であったとされています。

嗚呼、私も訛りのない日本語を話してみたい。どうすればいいのでしょうか。訛り除去装置のようなものがあったらいいのにと思う。

というわけで、桜花の季節に予定している「星々のつぶやき」の第2回朗読会「朗ブロ」では、少し磨きのかかったいわき訛りが聞けるかも...。


(この横断歩道の赤信号は永遠に続くかのごとく長い)

秘書を務めていた元上司の話。東京での出来事だったという。切符を買うため券売機に並んでいるとボスが見当たらない。

トイレにでも行ったのだろうか。待つこと数分。さらに待っても、来ない。ここで動いてはお互いにはぐれてしまう。不用意に動けないジレンマ。

30分ほど経ったころにトランシーバー大の当時の携帯電話が鳴った。ボスからだった。

「何をしているのだ」

「切符を買おうと...。どちらにいらっしゃるのですか」

ボスはすでに目的の駅に着いているという。急いで行くと案の定ボスがいました。

こちらの非ではない。そう思った元上司は謝罪の言葉は告げなかったそうです。事情を聞くと、せっかちなボスは秘書が切符を買うのを待っていられなかったのだという。

「どうやって改札口を通ったのですか」

「駅員のいる改札口をそのまま通って行った」

「出るときはどうされたんですか」

「出るときも同じくそのまま通って出た」

要するに切符なしで無賃乗車をしたことが判明。にもかかわらず、駅員から誰何(すいか)も、咎(とが)められることもなく入場と退場ができたというのです。

たしかに威風堂々としています。いわゆるオーラの漂う人でありました。私もかつて一対一で面会をしたことがあります。緊張しました。

そのあまりの堂々たる振る舞いに駅員もやんごとなきお方なのだろうと声をかけることさえできなかったようなのです。

おそらくはご本人もそう自ら信じ切っているからこそなし得る振る舞いなのでしょう。我が王道を歩むまでだという確信。切符などという世事にとらわれてなるものかという信念。

天下国家からすれば切符の一枚や二枚など些末なことです。あとは秘書が良きに計らうだろう。

祇園のお茶屋での支払いに現金のやり取りがないのと同類の感覚かもしれません。やんごとなき人は些事に無関心です。

兎にも角にもというか、私もやってみたくなってきました。

まず、いい背広が必要です。エナメルのピカピカの革靴も。髪も切り揃えましょう。歩き方も練習しなければなりません。背筋をビシッと伸ばし、眼光鋭く闊歩するのみです。

どうでしょう。やれそうでしょうか。やれそうな気がしてきました。エルガー作曲「威風堂々」を聴きながら気分を高揚させるといたしましょう。

新聞の社会面に載ったときは失敗したと思ってください。


(杜のドーナツの豆乳アイスクリーム。150円)

厄介な問題の解決。それは人に会うしかないのだろうと思っています。納められるべきものが未納となっている「滞納問題」がかつて在籍していた部署では厄介でした。

こちらから督促状を送る。送られた方は気持ちが良くない。長時間の苦情の電話も少なくありませんでした。

担当者はできれば滞納者とは面と向かって会うことは避けたい。ですから、文書を再び送る。

外からかかってくる電話の多くがこの滞納問題に関するものでした。しかも一件当たりの時間が長い。

どうするか考えました。

結論は、会うことでした。とにかく会おうと思いました。しかも、ヘビーでハードなケースから対応していこうと腹を決めました。

思い出に残る出会いがいくつかあります。

伺ってみるとご自宅は魚屋さんでした。

こちらが説明をしていると、突然、鯨カギ(木製の柄の先に鉄製の鋭いツメが付いているもの)で目の前のカツオをぐさっと刺しました。思わず後ずさりしました。

「わかったよ。わざわざ来てくれたんだから」

また別なお宅では明らかにそのスジの方のように思えました。

聞いたことのない鳴き声の鳥が飼われていました。大きな亀もいました。お客さんの背後には鎧兜が私の方を見据えています。

「香りのいいお茶ですね。これは椎茸茶ですか」

「違うよ。松茸茶だよ」

「す、すみません」

椎と松には大きな違いがあります。謝る私。気分を害してしまったかもしれない。

1時間は話し合いをしたでしょうか。時折、鋭い鳴き声が響きます。よく伺うと滞納には理由がありました。

なぜか、この訪問を機に過去の滞納分はもちろんのこと毎月の分も払ってくれるようになりました。

こういった訪問を数か月するうちにいつの間にか苦情の電話は途絶えていました。

パレートの法則を引き合いに出せば、苦情の8割は2割のヘビーでハードな苦情主によるものである。その2割への対応を優先して行えば、解決への道が大きく広がると言えます。

問題事例のすべてが話し合いで解決するとは思いません。が、人と人との関係に起因する厄介な問題はやっぱり会うことなのでしょうね。

そして、大事なことは話し合っても解決しない事案は、当地で言うところの“うるかして”おけばよいのです。

完璧を求めるあまり心を煩わすのは非生産的ではないか。最近そのように思うようになりました。


※「うるかす」とは、米を水に入れて浸潤させることを意味する。付随してそのままにしておくことの意味もありますが、良い意味では使われない。


(早暁の徒歩通勤)

利久大和町店。午前11時30分の開店の時間と同時に入店しました。旧友と約20年ぶりの再会。二人とも牛たんヘルシーセットを注文。

米国に渡って20年余。現在、国連本部事務局に勤めている友。PKOの担当だという。

「雇用ってどんなふうなの。ずっと勤められるの」と私が質問。

「2年ごとの契約更新なんですよ。どのような成果を出したのか評価されるし、分担金拠出国の意向によっても継続雇用となるか判断されるんです」

「そりゃ大変だ。緊張感があるね。雇用打ち切りに備えて人間関係を幅広く作っておかないとだめだね」

「人間関係は大事ですね」

「そうそう、いまねドラッカーの読書会に参加しているんです。アメリカではあまり読まれていないようだけど」

「そうでうすね。私も読んでいますよ。強みを生かすというのは大事な視点で職場でドラッカーを実践しています。弱みに着目するとどうしてもぎすぎすしてまいますからね」

20年前、旧友は以前ドラッカーが在籍していた大学に留学中。当時、彼を訪ねた私はドラッカーについて聞かせられたものの、興味を持ちませんでした。

今思えば惜しいことをしました。生前に偉大なるドラッカーに会えたかもしれないのですから。

次回、ニューヨークのラーメン店で再会することを約し、友と別れました。


(ホテルの朝食が好きです)

いわきワシントンホテルの朝食会場。3年ぶりに地元の友と朝食会を催しました。今回で3回目です。朝7時過ぎ集合で8時解散。

それぞれの取り組みや関心のある分野、新しい動きについて情報交換。

あえて朝に行う。朝食会は濃密なひとときを約束してくれます。山本周五郎著『樅ノ木は残った』の主人公が催す朝粥の会を模して始めたものです。

いつしか話題はブログの朗読会「朗ブロ」に移りました。

「じつは『朗ブロ』は職場の友達に背中を押されて催したんです。誰かを頼む心があったのではだめだ、と。それではインパール作戦の牟田口司令官と同じになってしまう、と言われました」

「そうなんですか」

「察してくださいじゃだめだ、ということです。牟田口司令官は上司である中将に作戦中止を察してほしかったと後年語ったとされています。自分の口からは中止してほしいとは言えなかったんですね」

朝食会を閉じようとしたそのとき友がある報告をしてくれました。自ら語ってくれたことに私は嬉しくなりました。


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