(カフェが好きです)
オンラインでのやり取りで、ことは済ませられるものと思っていました。以前に直接会っていたこともあり、再度の打合せは不要だろう、と。
和楽器の音合わせを意味する「打合せ」。雅楽で使われる笙(しょう)などの管楽器、琵琶(びわ)などの弦楽器、太鼓などの打楽器のリズムを合わせることに由来するという。
お互いの思いを響かせて打合せすることの意味を今回、改めて強く感じました。
人と人とは、Wi-FiやUSBケーブルでつながっているわけではありません。つなげることもできません。
それでも、最近はオンラインのチャット機能などにより瞬時に情報のやり取りができるようになりました。随分と意思疎通が容易になったと言えるでしょう。
でも、やっぱり顔と顔を合わせてのコミュニケーションは違う。表情や音声を交えての情報の量と質はチャット機能でも敵わない。
そう思いました。
当ブログ「星々のつぶやき」の初めての朗読会の打合せを会場となるカフェで行いました。私はホットココアを注文。
「お子ちゃまなものでココアが好きなんです」
「そうですか。ところで、朗読会は何曜日がいいですか」
「土曜日の午前中がいいかなぁと思っています。ホールでコンサートとかイベントがないときがいいのですが」
「それでしたら、火曜日の夜はいかがでしょう。土曜日の午前中もそれなりにイベントがあります」
「平日の夜ですかぁ。考えていませんでした」
「毎週火曜日はホールなど本館は休館なんです。ですからイベントはなく騒がしさもありません。周りの照明も落ちて、ここのカフェだけが灯っている感じです」
夜の帳(とばり)が降り、静まりかえったカフェ。いいかも。イメージが湧いてきました。
「それもいいですね。火曜日はホールは使われていないのですね。ノイズに邪魔されずにやれますね。参加者にはお店のお飲み物と一品お料理を注文していただく。そんな風に考えています」
「BGMはどうしましょうか。ジャズなどはいかがですか。クリスマスにちなんだ楽曲はどうでしょう。かけてみましょうか」
店内にジャズが流れ出しました。
「では、私、BGMに合わせて朗読してみます。本当はプロに朗読してもらおうと思っているんですけど...試しに読んでみます」
「
岩塩低温サウナ」を読み始めました。
隣の村に温泉があります。木戸川の上流沿いの公営の日帰り入浴施設。人混みが苦手な私好みの閑静な佇まいです。
岩塩低温サウナの扉を開けると先客が二人いました。サウナという密室は...
ジャズの曲に合わせて、ゆっくりと間合いを取りながら朗読。笑いをこらえているのを横目に見ながら、最後まで読み終えました。
なんだかすごくいい感じです。これはいけるかもしれない。
ここ数十年来、味わったことのないような高揚感を覚えました。
「とてもいいですよ。ジャズに合ったお声です。シュールな文章をゆったりと朗読して、なんていうのでしょう...」
「癒しの世界ですか」
「そうです。癒しです」
いよいよ、「星々のつぶやき朗読会」の始動です。夕闇の静寂なカフェでの小さな朗読会。