(ここで妄想してネットにアップしています)

「兄と妹の会話」は時々ノンフィクションに思えることがあります。でも、フィクションです。

「欧州は必死になってイラン核合意を守ろうとしている。核開発を完全阻止する内容にはなっていないにもかかわらずだ」

「どうしてなの、お兄ちゃん」

「中東は地続きの彼らの庭なのだ。いったん混乱が起きればシリア内戦で見られるように難民が押し寄せてくる。ISの影響を受けたテロリストが流入してくる。肌感覚で脅威を感じるのだ。半島にいるおれにはそれがわかる」

「アメリカは中東の混乱を脅威と感じなくなったということ?」

「そうだ。票になるかどうかが第一基準になりつつある。事務レベルで地道な交渉の積み上げをするといった、七面倒なことを厭うようになった。そういった傾向はネオコン派の大統領の系譜と言ってよいだろう。中東の混乱を脅威に思わなくなった理由は何だと思う?」


(1杯220円のオアシス。周りは人の砂漠。あゝあなたがいれば怖くはないわ)

「石油かしら」

「そうだ。シェールガス革命だ。もはやアメリカはエネルギー輸出国だ。中東に依存する必要はない。混乱してもいいのだ。否、むしろ混乱を期待しているふしがある。混乱に期待していると言った方がいいかもしれない。その証拠にマーケットに大きな動揺はない」

「どういうこと」

「核合意破棄となればイランは石油の輸出が制限される。そうすれば原油価格が上昇する。連動してシェールガスも価格が上がる。価格が上昇すれば採掘困難な場所でもさらなる投資が可能となり、一層採掘できる。中東に一悶着あり混乱すればするほど原油価格が上がる。それを期待しているのではないかとおれは見ている」

「あこぎな大統領ね、トランプという男は」

「あいつは七面倒な交渉や精緻な合意は苦手だ。嫌いだ。報告を聞くのも嫌いだから国務省の外交官にも委ねない。トップセールスで白か黒かを決めたがる。そこをよくわきまえ姑息な交渉は避ける必要がある」

「お兄ちゃん、大丈夫なの」

はたしてお兄ちゃんは大丈夫なのでしょうか。打つ手はあるのでしょうか。

つづくかも


(会話しているのでしょうか)

兄と妹が会話している最中にアメリカのイラン核合意破棄のニュースが飛び込んできました。

「お兄ちゃん、トランプさんはどういうつもりなんでしょう。核合意破棄にはいろいろな背景がありそうね」

「その通りだ。幾重にも伏線があるな。まず、おさらいしておくとイスラム革命が起きる前はアメリカをはじめ各国が競うようにイランに原発を作ろうとしていたんだ」

「そうね。イランで最初の原子力発電所となったブーシェフル原子力発電所は当初ドイツのシーメンス社が設計や建設を請け負っていたわね」

「そうだ。それが常任理事国でもないドイツがイランとの核合意に連なっている理由の一つだ。もちろんEUの盟主であるドイツを外せないということもあるだろう。それからあまり知られていないことだが、原発以外でもドイツとイランは貿易、まぁ要するにビジネスで深い関係があるんだ」

「日本もイランとは石油開発で共同プロジェクトを組むなどしてアメリカなどとは歩調を異にしてきたけど、国際影響力が低下して交ぜてもらえないわね。それで、そのドイツのメルケル首相とトランプの馬が合わないってわけね」

「仲が悪いというのは核合意破棄の伏線の一つではある」

「一番の理由は単純だよ。米国内のユダヤ人とキリスト教福音派の好感を得るためだ。トランプの長女のイヴァンカがユダヤ教に改宗したのを知っているか。露骨だな。トランプは現職大統領として初めて東エルサレムの嘆きの壁にも詣でている。歓心を得るためだろう」

「イスラエルとしてはイランの核合意を一貫して反対してきたわ」

「それはそうだ。もとからイランが嫌いだからな。しかも、このところイスラエルが敵対しているレバノンのシーア派組織ヒズボラが同じシーア派のイランの支援を受けて武力の拡大を図っているおそれがある。もう一つの伏線が我が共和国にとって痛い。これがトランプの真のメッセージではないかと思う」

「真のメッセージ?」

「イランに対して我が共和国からミサイル技術を供与するなというメッセージだ。イスラエルが一番嫌がっているのはイランによるミサイル攻撃だ。朝米会談の前におれたちに釘を刺したのさ。アメリカとの約束を破ると痛い目に遭うぞというメッセージも込めてだ」

「アメリカのそういう動きに対して欧州各国は核合意を守ろうとしている理由は何なのかしら」

「それはまたあとで話そう」

つづくかも


(草野心平記念文学館)

復活を求める声に応えるため、「兄と妹の会話」は臨時的に掲載します。なお、あくまでもフィクションです。

「ポンペオがまた来るぞ。アメリカは力ずくでやるつもりだ。おれはもう一度習のオヤジに会う。この際、体裁など構っていられない。現代版朝貢だ。またヤツの又の下をくぐる」

「どこで会うの。北京?」

「どこがいいと思う」

「平壌からも近くて、北京からも遠くないところ。大連がいいんじゃないかしら」

「どうしてだ」

「プーチンに焼餅を妬かせるためよ」

「なるほどな。大連はロシアを刺激するにはいい町だ。日清戦争後に三国干渉の代償としてロシアが清から租借(そしゃく)して作った港町だからな。しかも、そのあと日露戦争で日本に奪い取られた因縁の町だ」

「そして、第2次世界大戦では日ソ中立条約を破って対日参戦。ソ連軍は大連を占拠。ロシアを刺激するには十分すぎるくらいの場所ね。それで、お兄さんは、北南会談の報告を習さんにするだけではないでしょ?」

「もちろんだ。核廃棄を一気にできるわけないだろう。それは物理的にもコストの面でも無理だ。段階的にやらざるを得ない。そこで、段階的に制裁も解いてもらう。これをアメリカに主張したいと習のオヤジに言うんだ。で、賛意を示してくれればいい」

「でも、トランプさんがその話に乗るかしら」

「乗らなくてもいいんだ。おれは中国さえ制裁を解いてくれればいいのだ。アメリカに制裁解除を求めているように見せて、じつは中国を牽制する。そういうことだ。アメリカの制裁など我が共和国にとっては蚊ほども痛くも痒くもない」

「そうね。2017年の対中貿易赤字は約20億ドルよ。過去最大になったわ。中国が本気になると本当に困るわね」

「そして、習のオヤジが話の乗ってくるように貢物を用意した」

「我が共和国の地下に眠るレアアース鉱床だ。イギリスの調査会社がすでに調査済みだが、我が共和国には全世界のレアアースの確認埋蔵量の倍の約2億トン以上ものレアアースが眠っている。電気自動車の開発普及を国家戦略に掲げている中国にとっちゃ喉から手が出るほどほしいものだ」

「でも、中国にもレアアースはあるわ」

「あることはある。しかし、例のレアアース戦争で中国は逆に価格競争に負け始めた。環境汚染もひどい。技術が低いため中国のレアアース開発は国の補助金なしではやっていけない状態にある」

「中国に鉱床採掘権を譲るの?」

「イギリス系の企業も食指を伸ばしているから、譲るように見せかけよう。そうだ、ロシアに連絡して、モスクワに行くと伝えてくれ。もうそろそろ行かないとまずいだろう。プーチンさんのプライドを傷つけてはいけないからな」

「お兄さん、アメリカがイランとの核合意を破棄するとの情報が入ったわ」

「そうか。予想はしていたが、おれたちへの牽制の意味もあるな」

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