(可憐な花が好きです)

アントニン・ドヴォルザークの交響曲第9番、いわゆる「新世界より」は勇壮な曲です。金管楽器が奏でる主旋律は、さながら咆哮(ほうこう)のよう。

現代社会にあって新世界はあるのか。未知の世界を知るにはその世界を知悉(ちしつ)する人から話を聞くことが手っ取り早い。

「星々のつぶやき」通信員のYさんと、しばし懇談。お互いの入手した新鮮な情報を交換し合います。

「最近、駅前にメイドカフェができたの知ってますか」とYさん。

「いや知らないです。そもそも、メイドカフェがどんなものかさえ知りません」

メイドカフェ、あるいはメイド喫茶と呼ばれる業態。名称は知っています。秋葉原にたくさんあることも。

ただ、メイドカフェと聞いて私が連想するのは、1998年(平成10年)に発覚した「大蔵省接待汚職事件」。通称「ノーパンしゃぶしゃぶ事件」です。

「いや、そんな店じゃないんです。風営法は適用外になっていて、営業時間は正午から午後8時までなんです」

「へ〜。夜は8時で終了ですか」

「高校生が働いてますし、従業員を撮影してはいけないとか、個人的に贈り物をしてはいけないとか、いろいろとルールが厳しいんです。もちろんボディへのタッチは厳禁です」

「そうなんですか。で、お料理とかが出るんですか」

「料理はさほど品数はないですね。アルコールも出ます。パンケーキを注文すると可愛い絵を描いてくれます。そうそう、料金は品物の代金のほか時間単位でも加算されていきます」

「なるほど。なにを楽しむところなんですか」

「そうですね。メイドとのコミュニケーションでしょうか。料理が運ばれてくると、『おいしくな〜れ萌え萌えファ〜』と魔法をかけてもらえます。飲み物の場合は『萌え萌えキュン』となります」

「萌え萌えキュン、ですかぁ」

「可愛らしいポーズをとって魔法をかけるんです。料金を払えばその場でポラロイドの生写真を撮ることができます」

「魔法に生写真ですか...で、どんな人がお客さんで来るんですか」

「高校生のほか、そうですね女の子もいましたよ。65歳以上や高校生を割引にしているので、そういった客もターゲットなんでしょうね。午後8時で終わるということは酔客は対象外なんでしょうね」

私には不可思議な、それこそ新世界そのものです。思わずY通信員の話に聞き入ってしまいます。

「あとはなにか、メイドカフェで特徴的なことがありますか」

「そうですね。入店すると『お帰りなさい』といわれます。帰るときは『いってらっしゃい』です」

「ほう。その発想は面白い。最初にそういう文化を作ろうとした人がすごい」

私は「これだ」と思いました。膝を打つ思いです。

いまや我が国は、単独世帯が最多世帯となりました。2015年国勢調査によれば、1人の世帯が一般世帯の34.5%と最も多くなり、一般世帯の3分の1を初めて超えたという。

「お帰りなさい」

そう声がけしてくれることを求める人が確実に増えているのでしょう。

その意味では人間の帰巣本能を満たしてくれる仮の空間がメイドカフェなのかもしれない。

そういう私も、はたして「萌え萌え」するものなのかどうか。というか、「萌え萌え」なるものが理解できません。

ちょっとハードルが高い新世界です。せいぜい知っているのは「パチンコ新世界保原店」くらいです。

やはり「持つべきは友」だと思いました。

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