(9月初旬の空)

この物語は全10話の「タイからカナダまで」の続編です。当地ではモントリオールを多くの人がフランス語読みでモンレアルと呼ぶことから、本シリーズは「モンレアル滞在記」とします。

では、カナダへ旅立つ前日から筆を起こすとしましょう。

9月2日。離日前の夜は銀座に泊まりました。何か美味しいものをと思い、いろんな店を覗き込みました。居酒屋、寿司店、ステーキ店などなど。

結局、牛丼店に入り、注文したのは特盛り牛丼(650円)。紅生姜をたくさん乗せて食べました。

夕食後、映画館で「釣りバカ日誌8」を鑑賞。同映画は自宅近くの夏井川がロケ地でした。

自分の地元の映像が映し出される映画を銀座という地で見ることの違和感。そして、訪れたことのない国へ旅立つ不安感。

それらが入り混じった、不思議な感慨にとらわれました。

翌日、成田空港で研修所長の見送りを受けました。

「日本での食事は最後になるね。何が食べたい?」

「うなぎが食べたいです」

まるで戦地に赴くようなやり取りをし、午後2時55分、成田発カナディアン航空002便にてまずは経由地のトロントに向かいました。

トロントに午後1時50分に到着。11時間のフライトでした。

トロントの入管で今後1年間の滞在ビザを取得し、目的地であるモントリオールに向かいました。

午後4時35分(日本時間午前5時35分)、モントリオール・ドーヴァル空港に到着。

空港にはモントリオール大学東アジア研究センターのM先生が迎えに来てくれていました。

まず大学に向かいました。

カナダの国旗のモチーフにもなっているカエデの葉が無数に落ちています。それを巨大な掃除機で掃いているのが印象的です。

ただし、通常の掃除機のように吸引するのではなく、空気を吐き出して、葉っぱを移動。散らかしているようにしか見えませんでした。

そんな様子を眺めながら、1年間住むことになる大学敷地内の寮に案内されました。

壊れそうなくらい不安定なエレベーターで上階へ。薄暗い廊下を少し歩くと私の部屋17119号室がありました。

廊下の奥にあるトイレを見たとき、私はいい知れぬ不安に襲われました。

(第2話へつづく)

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