(スパリゾート・ハワイアンズ)

もうその土曜日は朝から興奮していました。ただでさえ土曜日は半ドンでうれしい。その日は特に楽しみでした。

火力発電所の年中行事の中でのハイライト。それが常磐ハワイアンセンターに行く日なのです。秋の行事だったと記憶しています。

学校からアパートに帰宅。両親は家族5人分の着替えや食料をリュックに詰め込んでいました。

午後2時過ぎに常磐交通の乗合用のバスが「貸切」と表示し、社宅の周りに何台も待機していました。

アパート1棟に20世帯余が入居していました。11棟のアパートと上位役職者用の平屋の戸建を含めれば、佐糠町の社宅には相当な数の住人がいたと思います。

火力発電所と常磐ハワイアンセンターはもともと事業上のつながりがありました。

炭鉱です。

大鉄傘(だいてっさん)の常磐ハワイアンセンターの構造は、火力発電所の貯炭場(ちょたんば)と大きさも形も同じです。

午後3時半ごろに常磐ハワイアンセンターに到着。

靴を脱ぎ、半透明の袋に入れます。素足に床の温かみを感じます。二酸化硫黄のにおいと湿気。いやがうえにも心が躍ります。

我が家はプールの見える3階の休憩室に陣取ることが多かったように思います。誘蛾灯のような薄紫色の蛍光灯が天井にぼんやりと光っていました。

ステージでは枕木のような打楽器を激しく叩いています。

姉と弟と私の3人はプールに向かいます。流れるプールなどでひと泳ぎして父母のところに戻ると夕飯です。

重箱に混ぜご飯やいなり寿司、ゆでたまごが詰まっています。当時は当然のように食べ物を持ち込んでいました。

私の楽しみは、3つ。

まず、ゲームコーナーに行くこと。スマートボールとメダルゲームが目当てでした。落ちそうで落ちない棚田のメダルをときに腰の力を使って獲得しました。

つぎに、カネボウのBOBというアイスキャンデーを買うこと。それから、風呂上りにミキサーのメロンジュースを飲むことでした。

温泉ももちろん楽しみでした。

金魚の入った水槽の上にある金魚風呂、追加料金を払わなければならない金風呂、ハワイを冠した施設なのになぜかナイアガラの滝を模した露天風呂。露天風呂に行くまでの小路が薄暗く、そして寒い。

露天風呂は岩によって男女が仕切られていました。ときに岩をよじ登る人もいました。

午後8時半まで、みなが思い思いの時間を過ごします。

私はバナナ園が好きでした。

バナナやパイナップル、パパイヤが実を付けていました。鎖に繋がれた大きなオウムが大人の背より高いところにいて鋭いくちばしを見せていました。水槽にはピラニアが泳いでいました。

お土産コーナーを通過して午後9時ごろにバスに乗り一路社宅に戻るのでした。出口近くのソテツを照らす強烈な照明から湯気が立っていました。

枕木の打楽器、金風呂、金魚風呂、ナイアガラの滝、オウム、ピラニア、BOB、メダルゲーム、ソテツ等々。

こういったもろもろのものが融合して私のハワイのイメージが作られて四十余年。

いつの日か、二酸化硫黄がにおわないという、太平洋に浮かぶ島・ハワイに行ってみたいものです。

ちなみにナイアガラの滝はカナダ側から20年前に訪れることができました。露天風呂の滝とは比べものにならない豪快な滝でした。

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