(衝動買いしそうなくらい美味しい)

なんだ、いわしか、と思いました。コンビニの棚にたたずむセブンプレミアム「釧路産いわし 煮付 生原料使用」。手に取り、私は買うかどうか迷い始めました。

その缶詰のとなりには、セブンプレミアム「いわし煮付 国産いわし使用」の缶詰が並んでいます。

値段は釧路産が228円(税抜)、国産いわし使用の方が188円(同)。内容量は同じく150グラム。

40円の差に何が隠されているのか。気になり出しました。表記から読み取れるものを列記します。

釧路産が「生いわし」と称し、もう一方は「国産いわし使用」と言う。国産いわしは、おそらくは産地はバラバラでしかも冷凍の可能性が大であることがわかります。

栄養成分表示を確認します。釧路産・国産いわしの順で記します。

エネルギー:399kcal 301kcal
たんぱく質:17.4g 21.8g
脂質:32.4g 16.3g
炭水化物:9.5g 17.0g

釧路産の方が脂質が2倍あることがわかります。したがって、エネルギー量も大きいわけです。これは期待できそうです。

「千円チャージしてください」

毎度せこいnanacoチャージをする私。器が小さい。たまに1万円分のチャージをする人を見ると卑屈な気分になります。

いわし(鰯)の名の由来は諸説あります。水揚げするとすぐに弱って腐りやすいとか、卑しい身分の者が食べるものである等々。私にこそいわしは似合う。そう思います。

帰宅。家には誰もいません。しめしめであります。

真っ白なご飯を用意。「釧路産いわし 煮付 生原料使用」を開封しました。静まり返った沼に潜む主のように胴の太い煮付が納まっていました。

予想していた臭みはまったくない。これは驚きです。さすが「生いわし」の力。

熱々のご飯にいわしを乗せ、口に入れました。あっ、旨い。癖のないとろけるような不飽和脂肪酸の味わいが口中に広がります。

脳髄に旨さが伝達し、思わず自分の太ももを握りしめました。

精白した穀物は本当は身体には好ましくない。頭ではわかっています。だからこそ炭水化物は嗜好品なのです。

でも、やっぱり美味しいおかずは真っ白なご飯に限ります。

釧路産いわし煮付に自家製梅干しの梅肉を添えてご飯といっしょに食べてみました。なんという絶妙な組み合わせを見つけてしまったのか。叫びたい思いです。

唾液がこんこんと湧いてきます。食欲中枢にじかに働きかける魔力。

茶わんを口に付け、かっこみたい欲動に駆られました。が、逆流性食道炎を患っている身です。耐えました。

胴太のいわしをふたたび見つめます。生前の姿に私は思いをはせます。

オホーツクの海で悠々と泳いでいたいわし。魚影が探知され、近づく船団。まき網によってぴちぴち青い背を見せながら跳ねるいわしの群れ。

朝焼小焼だ
大漁(たいりょう)だ。
大羽鰮(おおばいわし)の
大漁だ。

浜(はま)はまつりの
ようだけど
海のなかでは
何万(なんまん)の
鰮(いわし)のとむらい
するだろう。


出典:JULA出版局『金子みすゞ童謡全集』

というわけで、私はいま、いわしに食べられた何万ものプランクトンをとむらう詩を考えています。

結局、どっちもどっち。お互い様なのです。

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