- 2014.09.29 Monday
仮面ライダーの変質と侠客の心
(「草野心平と小川をまとう」。来年はこのワークショップに参加したい)
御嶽山が噴火しました。国内に110ある活火山。活火山の定義は「概ね過去1万年以内に噴火した火山及び現在活発な噴気活動のある火山」とのこと。
自然を相手とする場合、1万年という長遠な単位が必要なのですね。
ちなみに、電気事業連合会によると「高レベル放射性廃棄物は(中略)数万年以上にわたり人間の生活環境から遠ざけ、管理する必要」があるとし、「日本には火山や地震、断層活動の影響が少なく、今後10万年にわたって安定していると評価される地層が広く存在することが明らかになって」いるそうです。
10万年も安定した地層。しかも、広く存在。国内にそんなところがあるとは知りませんでした。これで安心です。枕を高くして眠れます。
ところで、親友のブログによるとテレビ放映の「仮面ライダー」が変質するという。
第16作目(10月5日放映開始)となる仮面ライダーのシリーズ名が「仮面ライダードライブ」になるというのです。キャッチコピーは、「この男、刑事で仮面ライダー!!」。
設定が異色づくめです。シリーズとしては初めて自動車を運転。しかも、仮面ライダーが刑事で、ドライブ側の登場人物は全員警視庁所属の人物。
以前「星々のつぶやき」でお話したように、幼いころ仮面ライダー変身ベルトを鳴らしていた筆者としては、この変容ぶりを悲しく思います。石ノ森章太郎さんも草葉の陰で泣いているに違いありません。
以下、3点にわたって抗議します。
一つ目は、言語学的な観点からの矛盾です。
ライダー(rider)は、馬やバイクなど、“またぐ乗り物”を乗っている人を意味します。一方、ドライブ(drive)は駆り立てるといった意味もありますが、現代英語では、基本的に車の運転を意味する動詞です。
ですので、自動車を運転するのであれば、「仮面ドライバー」が妥当でしょう。ワゴン車の中でバイクにまたがるのなら別ですが...。
二つ目は、バイクを捨てた「仮面ライダー」は、もはやヒーローではないという点です。
バイクの機敏性と即応性。敵の攻撃に直接さらされるリスク。寒風に一人走るライダー、炎熱の中で砂埃を巻き上げながら疾走するライダー。
そんなライダーが自動車という鋼鉄の箱に守られていいのでしょうか。
いつの間にか巻かなくなった真っ赤なスカーフ。第16作目への布石だったのでしょうか。快適な車内のエアコンの風でスカーフをなびかせば、ファッションにはなるでしょうけれど。
少し脱線しますが、「水戸黄門」の風車(かざぐるま)の弥七は、あくまでも風車で相手の動きを封じるからこそ、風車の弥七なのです。風車の代わりに携帯式対戦車ロケット弾で攻撃してしまったのでは物語が崩壊してしまいます。
二輪から四輪への変更はタイヤの数が倍になった以上の衝撃があるのです。仮面ライダーは改造の原点、つまり、“昆虫(バッタ)”であることを自覚すべきです。
三つ目は、仮面ライダーは一匹狼かつアウトロー的存在であるべきだということです。
それが、権力機構の一員になってしまったのでは、“強きを挫き、弱きを助ける”侠客の心が失われてしまいます。
警察は、法令に違反した人間を取り締まる組織です。仮面ライダーをそんな狭小な組織の一員にし、集団戦法の手駒としていいのでしょうか。
敵は、世界征服をたくらむ超法規的な存在なはずです。国家権力をもってしても倒せない、人間の力ではいかんともしがたい、悪(怪人)に、ただ一人立ち向かうヒーローであってほしい。
そこに少年少女の心を躍らせる、手に汗握る「仮面ライダー」の正義と醍醐味があると思うのです。「ドライブ」気分とはおよそかけ離れた真剣勝負の世界が展開されなければなりません。
というわけで、久しぶりに力んでしまっただいこんくんなのでした。
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