- 2016.04.30 Saturday
軽トラックの断崖絶壁感
(畦道に佇む軽トラック)
「軽トラ、運転できる?」。今の職場に就職した1年目のときです。先輩にそう尋ねられました。
「軽トラックを運転する仕事があるんですか」
「支給した電動ベッドの回収なんだ。亡くなると連絡が来て訪問するんだよ」
当時、運転免許を取得して2年目。マニュアル軽トラに一抹の不安がよぎります。
軽トラの運転席に座ったときの断崖絶壁感。閉所感。そして、裁判官の椅子のような直立感。
文字通り未知の世界です。
座高が高い私。この断崖絶壁感と直立感で一気に不安になりました。天井に頭がぶつかりそうです。
ハンドルの位置が水門の水平ハンドル式であることにも戸惑いを隠せませんでした。
そして、初速で踏み込むと想像以上の加速のよさ。アクセルを緩めると急減速し、ぐぁんぐぁんとなる始末。
「おれはね、まだ温かいベッドも運んだこともあるんだよ。使われなくなったカラオケの機械まで持って行ってっていわれてね...」
先輩の体験談も耳に入らないくらいガチガチに緊張してハンドルを握る私。
目的地のお宅に到着。
電動ベッドの意外な重さにびっくり。モーターがでかい。重いわけです。
幸い温もりは残っていませんでした。
果たして2人で運べるのか。腰がもたつきます。
無事運び出し、軽トラの荷台に載せました。積荷があると軽トラのハンドリングの感覚が激変します。
パワーステアリングではないので、カーブでは水門のハンドルを開けるかのごとく力まなければなりません。
仮置き場の保育所に到着しました。子どもたちの元気な声が聞こえます。
空き部屋に搬入しなければなりません。先輩が先頭になり、私が後方を務めます。
部屋に半分ほど入ったそのときでした。腰がよろけ、ベッドの枠が引き戸に激突。
どん、がしゃん、ぱりん。
ガラスの割れる音が保育所中に響き渡りました。
というわけで、軽トラを見ると20数年前の失態を今でも思い出します。
- 体験
- 11:45
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- by だいこんくん